もともとは自然葬として始まった樹木葬ですが、その目的や背景によって異なる特徴があり、それに応じて樹木葬のかたちも多様化してきています。
例えば自然環境を重視した樹木葬、新たなお墓のかたちを求める社会グループに対応した樹木葬、墓地需要という行政課題から誕生した樹木葬では、それぞれが樹木葬墓地を通して実現しようとしていた目的が異なりました。
当初は全国各地から岩手県の知勝院に視察が訪れ、樹木葬という埋葬形態が全国各地に広まっていきました。
そのために、初期に整備された樹木葬墓地は知勝院をモデルとしたものが多かったのですが、それは新たな埋葬型式やお墓の形だけを部分的に取り入れたものが多く、次第に都市部のニーズに合わせた庭園風の樹木葬が色んな形で提供されるようになったのです。
樹木葬がここまで多様化していくとは思っていなかった知勝院の住職は、樹木葬という名称に商標登録などは行っていなかった事もあり、今では多様な広がりの墓地形態の全てが一般名称の樹木葬としてひとくくりにされるようになりました。
この様な事によって樹木葬の定義が分かりづらい要因のひとつと考えられるのです。