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家族葬の実際の費用は結局いくら?費用の見方と抑え方・後悔しないためのポイント

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近年、葬儀の形態の1つとして「家族葬」が選ばれるケースが多くなってきています。コロナ禍による感染防止という視点からも、葬儀を家族葬で行う例が増えています。家族葬を検討する際、とくに費用は大きなポイントとなるでしょう。

この記事では、家族葬の費用の目安とケース別の概算の考え方、納得いく葬儀にするためのポイントなどについてまとめます。家族葬をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

コロナ禍以降の家族葬の実態(費用・参列者数など平均)

コロナ禍以降の家族葬については、葬儀にかかる費用・食事・返礼品・お布施の合計は100万円前後と想定されます。食事・返礼品・お布施を抜いた基本の葬儀費用だけなら50万~60万円前後が目安です。

上記の金額は、鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査」(2022年)をもとに計算しました。コロナ以降、葬儀費用は大きく下落しています。前回2020年に行われた同調査の家族葬の金額は、食事・返礼品・お布施抜きで約100万円でした。40万~50万円安くなったことになります。

内容別の金額は次の通りです。

  • 基本の費用50~60万円
  • 食事代12万円
  • 返礼品14万円
  • お布施20万円

これをもとに、食事や返礼品をなくす場合や無宗教の葬儀にする場合なども計算してみてください。

算出方法について

上記の金額の根拠となる計算方法を以下に示します。先に述べたように、鎌倉新書の2022年の調査をもとにしています。

家族葬の参列者数の平均が23人です。この規模で行うという仮定で平均的な家族葬の例を計算します。全体の参列者数の平均は38人です。家族葬の人数は全体平均の約60%となり、家族葬の規模は全体平均の約6割の大きさになると想定されます。

基本料金の全体平均が67.8万円です。単純計算でその6割とすれば約40万円ですが、規模に関係なく一律でかかる料金もあります。そこで多少高めに50~60万円と仮定します。

食事代の全体平均が20.1万円で、1人あたり5,289円です。家族葬の人数をかけると、5,289×23=121,647円となります。なおこれは通夜振る舞いも含まれるので、1食の金額とは限りません。

返礼品の全体平均が22.8万円で、1人あたり6,000円です。家族葬の人数なら6,000×23=138,000円となります。この金額が妥当か演算してみます。もらった香典の合計の平均が47.2万円で、1人あたり12,421円です。香典の1/3~1/2が返礼品の目安と言われますが、その範囲に収まっています。やや高めかもしれませんが、ほぼ妥当な数字と言えるでしょう。

家族葬とは?改めて確認

「家族葬」とは、広く告知して人に来てもらうのではなく、親族やごく親しい人だけで行う葬儀のことを言います。葬儀の内容ではなく、葬儀に参列する人の違いによる分類です。葬儀で行うことは一般葬と同じです。

ただし完全に親族だけで行うわけでもなく、ごく親しい友人が参列することも珍しくありません。その場合は厳密には家族以外の参列者がいることになりますが、それでも家族葬と呼ばれます。実際には、線引きはあいまいです。

参列者の数が少なくなるため、当然一般葬よりは規模が小さくなります。ただしあくまで人数による規模の大小であって、内容を省略するかどうかという点は関係ありません。なお葬祭業者は、参列者の属性ではなく人数で分類することが多くあります。20~30人までを家族葬、それ以上を一般葬とするのが目安と言えるでしょう。

ほかの葬儀方法との比較

ほかの葬儀方法との違いを比較してみましょう。

まず「一般葬」との違いです。一般葬は、近隣の人や仕事上のつながりの人など含めて告知、参列してもらう葬儀です。その名の通り、広く行われている一般的な葬儀の方法です。「葬儀」と言われてイメージする葬儀です。

次に「一日葬」です。一日葬は、通夜を行わずに葬儀・告別式だけを行う方法です。通夜を行わないことで葬儀全体が2日に渡らず1日で済みます。参列者をどこまで呼ぶかは不問なので、一般葬の一日葬も家族葬の一日葬もありえます。

最後に「火葬式」「直葬」です。どちらも通夜・告別式を行わず、火葬のみを行う方法です。火葬式と直葬はほぼ同じ意味で使われますが、厳密には供養の時間をまったく取らないのが「直葬」、火葬の前にお別れの時間を取るのが「火葬式」です。親族だけで行うのが一般的ですが、必ずしも「家族葬イコール火葬式・直葬」とは限りません。火葬式・直葬は儀礼を行わないという点で決まるので、参列者が誰かは関係ありません。

葬儀費用の内訳と考え方

葬儀費用について考える場合、家計や企業の収支に例えて固定費と変動費をイメージするとわかりやすくなります。

葬儀費用にも、葬儀の規模に関わらず同じように必要となる固定費のような費用と、規模に応じて変わる変動費に近い費用とがあります。費用を抑えたいならば、基本的には2つの考え方しかありません。

  • 規模を小さくして、変動費に当たる費用を抑える
  • 固定費に当たる内容のグレードを下げたり省略したりして、費用を抑える

ただし出費だけを考えるのではなく、収支のバランスを考える必要があります。最終的に持ち出しが発生するかどうかを考えた方が、自己負担を減らせる可能性が高くなるからです。出費が増えたとしても、同時に収入を増やしてカバーできるなら問題ありません。規模を小さくすると出費は減らせますが、香典という収入も減ります。そのせいで自己負担額がかえって増える可能性もあります。

以下、規模に関わらない費用(固定費)と規模で変わる費用(変動費)それぞれの詳細を見ていきましょう。

内訳|固定の費用

内容に関わらず一律でかかる「固定費」についてまとめます。固定費は、葬儀社に払う費用と宗教者に払う費用に分けられます。

葬儀社に払う固定の費用の例には、棺代・火葬代や司会者などの人件費があります。ただし葬儀社のプランによっては、どちらもオプション扱いになっていることがあります。注意しましょう。

宗教者への固定の費用は、お礼(お布施・玉串料・献金)やお車代などです。

固定費は規模は無関係ですが、グレードや内容によって価格が変わる費用があります。たとえば棺代、花代です。宗教者にお支払いする費用でも、仏式の戒名などは内容によって金額が変わります。

内訳|変動する費用

次に規模で変わる「変動費」に当たる費用についてまとめます。変動費は、基本的には葬儀社に払うものしかありません。設備代(斎場、祭壇、スタッフ人件費など)、参列者の飲食代、返礼品代などが変動費に当たります。ただし上記の費用は、内容や数が固定になっていてセットやパックになっている場合もあります。

またやや細かくなりますが、遺体の運搬代・ドライアイス代も場合によって変動します。運搬代は移動距離によって、ドライアイス代は日数や気温によって使う量が変わります。そのためケースバイケースで金額が変わります。

上記の変動する費用は、主に参列者数の規模で決まります。しかし家族葬の場合は参列する親族の数などがほぼ決まっているのがふつうです。そのため、多くはある程度予想したりコントロールしたりすることができます。

家族葬は香典でまかなえる?

家族葬の費用を香典でまかなうことは、現実的には難しいでしょう。家族葬では受け取る香典が少なくなるため、香典だけでは足りないのがふつうです。

冒頭の計算でも総費用は100万円前後で、食事や返礼品をなくしたとしても50万~60万円でした。また受け取る香典を計算すると、30万円弱程度と想定されます(全体の平均が約47万円で、家族葬は一般葬の約60%の人数として算出)。すべてをまかなうには全く足りません。

包む金額の相場はほぼ決まっているので、どんな関係の人が何人ぐらい来るかわかれば香典の合計額はある程度予想することができます。収支のバランスも判断基準の1つにして、家族葬にするかどうか検討しましょう。

家族葬の費用を安く抑える方法

次に、家族葬の費用を抑える方法についてまとめます。ここでは以下の5つの方法について解説します。

  • 斎場の費用を抑える
  • 火葬場選びを工夫する
  • 飲食費・返礼品代を抑える
  • 通夜を行わない
  • 宗教・宗派にこだわらない

規模で変動する費用を抑えるのが基本です。さらに固定の費用がかからないように、省略できることは省略したりグレードを下げたりする方法もあります。

1つずつ見ていきましょう。

方法|斎場の費用を抑える

まず、斎場の費用を抑える方法です。具体的には小さな会場を選びます。それに伴って、会場に収容できるところまで参列者数も減らすことになります。また斎場と同じ設備費について、祭壇や花を小さいものにする方法もあります。

ただし葬儀会社のプランにもよります。内容が固定で金額がトータルで設定されている場合は、会場の規模を変えられなかったり変更しても金額は変わらないこともあるからです。

なお、斎場の費用を抑えるほかの方法として、葬儀会社の会員になっておくという方法もあります。葬儀会社によっては、会員になると葬儀費用が安くなるところもあるからです。

方法|火葬場選びを工夫する

次に火葬場選びを工夫するという方法があります。民営より公営の火葬場の方が低価格です。スケジュールにもよりますが、可能なら公営を選んだ方が金額を抑えることができます。

そのほか斎場に火葬場が併設されている場合があります。そういった火葬場を選べば、移動のバス代などが節約できます。

方法|飲食費・返礼品代を抑える

比較的大きな金額を節約できる方法として、飲食費や返礼品代を抑える方法があります。通夜振る舞いや精進落としなどの食事を行わない、香典返しなど返礼品をなしにするという方法です。なおその場合は香典は辞退します。

家族葬の場合は、食事や返礼品がなくても一般葬より理解を得やすいと言えます。実例も多くあります。またコロナ以降は、感染対策としても飲食を控える傾向が強まっています。

ただし香典を辞退することになるので、収支のバランスはあらかじめ確認しておきましょう。

方法|通夜を行わない

通夜を行わずに一日葬とする方法もあります。一日葬にすることで、通夜にかかる費用を抑えることができます。遠方の親戚などにとっては、宿泊費を抑えることにもつながるでしょう。

ただし、通夜を行わないということに対してはいろいろな考え方があります。場合によっては反対されることもあるでしょう。そのため、ほかの親族の意見も聞いておいた方が無難です。とくに年配の方や歴史を重んじる価値観の方がいる場合はなおさらです。

方法|宗教・宗派にこだわらない

菩提寺がない場合や故人が生前無宗教だった場合などは、宗教にこだわらない葬儀とする方法もあります。無宗教で行うと、宗教者へのお礼が不要になります。ただし無宗教に抵抗のある親族がいる可能性もあります。そういう親族がいる場合は、話し合いも必要でしょう。

また宗教者に依頼する場合でも、低価格で対応してくれるところに依頼する方法もあります。費用を明示している神社・お寺などもあるので、菩提寺がない場合はそういうところに依頼してもよいでしょう。

家族葬のメリット

次に、家族葬のメリットについて考えてみましょう。

まず家族水入らずで葬儀が執り行われるので、ゆっくりとしたお別れの時を持ちやすいという点が挙げられます。

また身内で行うので、場合にもよりますが意見を取りまとめるのも比較的容易だと言えるでしょう。そのため形式にとらわれない式が行いやすいということもあります。

そのほか参列者の数が少ないため事前の準備や手配が少なくて済みます。さらに家族や親族は連絡先がはっきりしていることがほとんどなので、連絡の手間もあまりかかりません。

また何度も述べているように、必要な費用が少なくて済みます。ただし収支のバランスを考慮すべきなのも、すでに述べた通りです。

家族葬のデメリット

しかし家族葬には、デメリットもあります。

まず、しばらくの間は葬儀後に弔問客が自宅に来て個別に対応しなければならない可能性があります。家族葬自体は手配など少なくて済みますが、葬儀の後が多少あわただしくなるかもしれません。

さらに、連絡が行き届いていなかった人との間でトラブルになる可能性があります。親の古い友人など、自分は知らなくても故人と仲がよかった人もいるでしょう。しかしお付き合いややり取りがしばらくなかった人は、残された側には事情がわかりにくいものです。注意が必要です。

また、家族葬には親しい友人なども参列すると言いました。親族以外の友人に参列してもらう場合、どこまで声をかけるかの選別も判断が難しい場合があります。

また、参列者の人数が少なくなる分、香典収入も減ってしまいます。

後悔しない家族葬を行うためのポイント

後悔しない家族葬を行うためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、主に費用面のポイントについてまとめます。具体的には以下の4点があります。

  • 事前に内容を確認する
  • 費用をかける点の優先順位を決める
  • 経験者の意見を参考にする
  • 相談に乗ってくれる葬儀社を探す

それでは、1つずつ見ていきましょう。

ポイント|事前に内容を確認する

基本的には葬儀社の用意しているプランを選ぶことになりますが、内容は事前に確認しておきましょう。葬儀社によって、含まれる内容が異なるからです。

必要な項目もオプション扱いになっている場合があります。そういったプランでは、実際には表示金額以上の費用がかかってしまいます。もちろん金額がすべてではなく、立派な式を執り行ってくれることもあるでしょう。しかしすっきりしない感じが残ってしまう可能性もあります。注意が必要です。

比較したい場合は、プランに含まれる内容を確認して内容・条件をそろえましょう。

ポイント|費用をかける点の優先順位を決める

予算やプランを検討するときには、費用をかけたい部分と節約したい部分の優先順位を決めましょう。選んだプランで式を行った時の納得感が高くなるからです。

たとえば「祭壇は立派にしたい」と思うなら、祭壇以外の費用をカットすればよいことになります。「ぜひ葬儀をお願いしたい宗教者がいる」という場合は、無宗教の可能性はなくなりほかの方法で費用をカットすることになります。

優先順位が低いところで想像していたのと違う部分があったとしても、優先したかったところがしっかりしていれば不満を感じることもなくなります。

ポイント|経験者の意見を参考にする

家族葬の経験者が身近にいるならば、意見を聞かせてもらって参考にするのもよい方法です。

とくに自分が家族葬に参列したことがない場合は、自分には想像できなかったようなポイントがあるかもしれません。できれば身近な経験者が信頼性も高くてよいのですが、身近にいなくてもネットでの口コミなどで経験者の意見を集めましょう。

そもそも家族葬にするかどうか、あるいは家族葬は決定としてどういう家族葬なら納得できるかなどを経験者の意見をもとに考えます。葬儀社・斎場選びも、経験者の意見は参考になります。ただし口コミはあくまで参考にとどめておきましょう。中には悪意があったり無責任だったりする口コミもあるからです。

ポイント|相談に乗ってくれる葬儀社を探す

最後に、相談に乗ってくれる葬儀社を探すという方法です。葬儀は地元で行うのがふつうです。そのため、自分の地域でよい葬儀社を探さなくてはなりません。

目安として、プランの内容と費用が明示されている葬儀社は安心です。信頼できる可能性が高いでしょう。

それを目安にしつつ、地元の葬儀社に個別で相談したいことなどを話してみましょう。親身になってくれるところ・アドバイスしてくれるところはお願いしやすいと考えられます。

できればいざというときの前、余裕があるうちに相談しておくとなおよいでしょう。会員になっておくと金額が割引になるところなどもあり、費用面でもメリットがあります。

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家族葬は、自分が参列した経験がないと、自分で行うとなった場合に不安を感じるかもしれません。葬儀の習慣は地域性も関わります。地元の葬儀社なら地元の葬儀のしきたりなどについても事情に詳しく安心です。

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